ただただ滂沱の涙。
ひと言では語り尽くせない感動。それでも我々はもう彼がいない事を知っている。目の前で繰り広げられるリハーサルは永久に実現しない。その喪失感が常に同居する...。
今年6月に急逝したマイケルジャクソン。ここで今更MJの説明をする必要はないだろう。彼が行うはずだったロンドン公演のリハーサルの様子をもとに編集された映画『This is it』を観た。
マイケルを取り巻く話題の多くはゴシップで、マイケルをあたかもキャラクターの様に感じていて、死んだ事すらどこか絵空事のように捉えている人も多いと思う。
しかし、この映画を見れば、彼が、一人のアーティスト、一人の人間であったことを感じるだろう。
始めはもっとスーパースター的な側面、賞賛的でわざとらしい感動的映画かと思っていた。
実際は非常に生々しい映像だった。
これはひとつのステージを作り上げようと真摯に取組むアーティストの姿、そしてそれを支えるミュージシャン、ダンサー、演出家、舞台美術の人達、たくさんの周りのスタッフの姿を描いたドキュメンタリーだった。
しかも事実を切々と追うつまらないドキュメンタリーではない。それはまるで、その幻のステージを観ているかのように、数々の名曲に乗せ、ダンスに乗せ、観るものを魅了するミュージカルのよう。
エンドロールが終わると劇場には拍手がこだました。
この映画を観た人は想うだろう。
「ああ、本番のステージを観てみたかった」と。
映画の冒頭「ファンへ」と捧げられたように、ファンにとってすばらしい(そして悲しい)映画だと思うが、マイケルをネタだと思っている人にこそ観てもらいたい。
稀代のスーパースター、キングオブポップス、マイケルジャクソンの最後の姿。
あらためて逝ってしまったことを惜しむ。

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